レベル3.5飛行とは?レベル3との違い・要件・申請手続きを解説(2026年版)

「レベル3.5飛行」は、ドローンによる物資輸送やインフラ点検などの事業化を進めるため、2023年12月に国土交通省が新設した飛行形態です。機上カメラを活用することで、これまでレベル3飛行で必要だった補助者や看板の配置を省き、道路や鉄道などを一時的に横断しやすくしたものです。

一方で、「レベル3.5なら第三者の上空を飛べる」「立入管理措置がいらなくなる」といった誤解も少なくありません。この記事では、国土交通省の公表資料(2026年10月14日時点)をもとに、レベル3.5飛行の位置付け、レベル3・レベル4との違い、必要な要件、航空局との事前調整からDIPS2.0での申請、飛行前の運航準備までを整理します。

この記事でわかること

  • レベル3.5飛行がカテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に含まれる飛行形態であること
  • レベル3・レベル3.5・レベル4の違い
  • 機上カメラ・操縦者技能証明・第三者賠償責任保険の3つの要件
  • 航空局との事前調整(運航概要宣言書・航空局管理番号)とDIPS2.0申請の流れ
  • 有人機関係者への周知とNOTAM(航空情報)の違い

レベル3.5飛行とは

レベル3.5飛行は、山・海水域・河川・湖沼・森林・農用地などの第三者が存在する可能性が低い場所で、補助者を配置せずに行う目視外飛行のうち、機体に取り付けたカメラ(機上カメラ)で飛行経路の直下とその周辺に人がいないことを確認しながら飛行させるものです。

さらに、操縦者が無人航空機操縦者技能証明を保有し、第三者賠償責任保険に加入していることを条件に、移動中の車両・列車・船舶の上空を通過する場合を含めて、道路・鉄道・船舶航路を一時的に横断する飛行ができるようになります。カテゴリーⅡ飛行の審査要領では、この一時的な横断を伴う飛行を「レベル3.5飛行」と位置付けています。

制度上は「カテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)」です

国土交通省は、レベル3.5飛行をカテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に該当する飛行形態と整理しています。飛行経路下が無人地帯であることを機上カメラで確認して立入管理措置を代替し、経路を特定して行う飛行だからです。立入管理措置を講じずに有人地帯で行うカテゴリーⅢ飛行(レベル4)には該当しません。

そのため、レベル3.5飛行で許可・承認を受けるには、レベル3飛行に必要な要件に適合していることを示す資料を作成し、備えておく必要があります(カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について)。

よくある誤解

  • 第三者の上空を飛べるわけではありません。認められるのは、道路等の一時的な横断に伴う移動車両等の上空の飛行や、第三者の出入りのない住宅等の上空の一時的な飛行です。歩行者などが飛行経路下にいる状態での飛行はできません。
  • 立入管理措置そのものが不要になるわけではありません。撤廃されるのは、補助者の配置や看板の設置などによる立入管理の方法です。立入管理区画の設定は引き続き必要です。
  • レベル3で求められていた他の要件はそのまま残ります。「第三者が立ち入る可能性が低い場所を選ぶ」などの要件は、レベル3.5飛行でも必要です。

レベル3・レベル3.5・レベル4の違い

3つの飛行レベルの違いを表にまとめました。レベル3.5は独立したカテゴリーではなく、レベル3(カテゴリーⅡ)に含まれる飛行形態である点がポイントです。

図表1 レベル3・レベル3.5・レベル4の比較

比較項目レベル3レベル3.5レベル4
飛行形態無人地帯での目視外飛行(補助者なし)無人地帯での目視外飛行(補助者なし)のうち、機上カメラで経路下を確認して行う飛行
※レベル3に含まれる飛行形態
有人地帯での目視外飛行(補助者なし)
第三者上空の飛行不可不可
(道路・鉄道・船舶航路の一時的な横断に伴う、移動中の車両等の上空の通過は可能)
可能(カテゴリーⅢ飛行として許可・承認を受けた場合)
立入管理措置必要(立入管理区画を設定し、第三者の立入りを管理)必要(立入管理区画は設定する。立入りの確認を機上カメラで代替)講じない(立入管理措置を講じない飛行がカテゴリーⅢ)
補助者・看板立入管理区画に道路・鉄道・家屋等が含まれる場合などは、補助者の配置や看板等の追加の措置が必要一定の条件のもと配置が不要―
機上カメラ等の活用立入管理の方法の一つとして活用できる必須(進行方向の飛行経路の直下と周辺に第三者がいないことを確認)飛行形態に応じたリスク評価・運航管理の中で検討
飛行カテゴリーカテゴリーⅡカテゴリーⅡカテゴリーⅢ
主な運航条件第三者が存在する可能性が低い場所に経路を設定、立入管理区画の設定、緊急着陸地点の選定 などレベル3の条件に加えて、技能証明(目視内飛行の限定解除)、第三者賠償責任保険、横断時の速度・高度などの運航条件の事前設定一等無人航空機操縦士の技能証明、第一種機体認証、許可・承認、運航管理体制
出典:国土交通省「カテゴリーⅡ飛行(レベル3.5飛行)の許可・承認申請について」「無人航空機の飛行に関する許可・承認の審査要領(カテゴリーⅡ飛行)」(2026年9月29日改正)、「無人航空機の飛行許可・承認手続」をもとに当事務所が作成

レベル4飛行は、一等無人航空機操縦士の技能証明を受けた者が第一種機体認証を受けた機体を飛行させる場合で、運航の管理が適切に行われていることを確認して許可・承認を受けた場合に限って行える飛行です。レベル3.5飛行は、こうしたレベル4の要件を満たさなくても、無人地帯での目視外飛行を事業として運用しやすくするための仕組みといえます。

レベル3.5飛行の主な要件

国土交通省は、レベル3.5飛行の前提として、特に次の3つの要件への適合を求めています。

1.機上カメラと地上設備で第三者の立入りを確認できること

機上カメラと、地上に設置するモニター等の設備によって、進行方向の飛行経路の直下とその周辺に第三者が立ち入っていないことを確認できることを、事前に確かめておく必要があります。カメラ・モニター・通信装置の構成を変更する場合も、同じ確認をやり直します。

あわせて、機体の性能、カメラやモニターの特性、横断する道路等の状況、周囲の地形や障害物から想定されるリスクを考慮し、次のような運航条件を事前に定めて、その条件に基づいて飛行させることが求められます。

  • 地上と飛行中の視程、視程障害がある場合の扱い
  • 道路等の上空を通過する際の速度と高度
  • 通過を決心する位置と高度
  • 通信速度
  • 場所や飛行方法に応じて生じるおそれのあるリスクと、その対策

2.操縦者技能証明(目視内飛行の限定解除)を保有していること

一等・二等の区分は問いません。ただし、飛行させる無人航空機の種類・重量に対応した、現に有効な技能証明であって、レベル3.5飛行が目視外飛行を前提とすることから、目視内飛行の限定を解除したもの(限定変更を受けたもの)が必要です。

なお、航空局標準マニュアル(レベル3.5飛行等)では、夜間に移動中の車両等の上空を通過する場合は、昼間飛行の限定解除を受けた技能証明も必要とされています。

3.十分な補償が可能な第三者賠償責任保険に加入していること

万一の事故で第三者の負傷や交通障害などが起きた場合に、十分な補償ができる第三者賠償責任保険への加入が必要です。補償金額の基準は示されておらず、飛行の内容に応じて必要な補償額を事業者自身が検討して設定することになっています。

レベル3飛行として求められる要件も必要です

上の3つに加えて、レベル3飛行(補助者なし目視外飛行)として求められる機体・操縦者・体制の要件も満たす必要があります。主なものは次のとおりです。

  • 飛行範囲の外周から、製造者等が保証した落下距離の範囲内を立入管理区画として設定すること
  • 不測の事態に備えた緊急時の手順を定め、第三者や物件に危害を与えずに着陸できる場所をあらかじめ選定すること
  • 飛行前に、経路とその周辺で安全上の措置を講じられる状態かを現場確認すること
  • 想定される運用で、機体の初期故障期間を超えた十分な飛行実績があること
  • 操縦者が、遠隔からの異常状態の把握や状況判断に関する座学・実技の教育訓練を受けていること

これらの確認事項を4つのグループに整理すると、次のようになります。

図表2 レベル3.5飛行の主な確認項目

機体・操縦者

  • 機体性能(機上カメラ・地上モニター・通信の構成)
  • 操縦者技能証明(機体の種類・重量に対応)
  • 限定変更(目視内飛行の限定解除)
  • 第三者賠償責任保険

飛行経路

  • 道路・鉄道・河川(船舶航路)の横断
  • 建物・第三者の有無
  • 落下範囲・落下距離(立入管理区画)
  • 離着陸地点・緊急着陸地点

航空局手続

  • 航空局との事前調整
  • 運航概要宣言書・航空局管理番号
  • 許可・承認(DIPS2.0)
  • 関連資料の作成・保管

運航準備

  • 有人機関係者への飛行予定周知
  • NOTAM(航空情報)の要否確認
  • DIPS2.0での飛行計画通報
  • 飛行前点検・当日の確認

※確認の観点を整理したものです。飛行の場所・方法・機体によって必要な項目や手続は異なり、すべての飛行で一律に全項目が必要になるわけではありません。有人機関係者への飛行予定周知は、補助者を配置しない目視外飛行(レベル3飛行等)で原則として必要となります。ただし、審査要領に定める方法により航空機の状況を随時確認できる場合は、周知を要しない場合があります。一方、航空情報(NOTAM)の発行手続は、予定飛行経路における他の航空機・無人航空機の状況を常時確認できない場合に必要となります。

道路・鉄道・河川の横断

補助者を配置しない目視外飛行では、飛行経路は原則として第三者が存在する可能性が低い場所に設定します。そのうえで、経路を設定するうえでやむを得ない場合に限り、交通量が少ない道路・鉄道の横断(幹線道路・鉄道や都市部のものを除く)と、家屋上空の一時的な飛行が認められています。

レベル3とレベル3.5で変わること

レベル3飛行では、立入管理区画に道路・鉄道・船舶航路・家屋など第三者がいる可能性を排除できない場所が含まれる場合、補助者の配置などの追加の立入管理措置が必要でした。

レベル3.5飛行では、技能証明・保険・機上カメラの要件を満たし、道路・鉄道・船舶航路への墜落を避けるための緊急着陸地点の選定などの安全対策を設けることで、補助者や看板を配置せずに、移動中の車両・列車・船舶の上空を通過する場合を含めた一時的な横断ができます。

横断できる場所には限りがあります

航空局標準マニュアル(レベル3.5飛行等)では、高速道路や交通量が多い一般道・鉄道の上空とその付近は飛行させないこととされています。補助者等を置かずに一時的に横断できるのは、交通量が少ない道路・鉄道・船舶航路です。

河川の扱い

河川・湖沼は、審査要領で「第三者が存在する可能性が低い場所」の例に挙げられています。一方で、船舶が航行する航路を横断する場合は、道路・鉄道と同じく「船舶航路の一時的な横断」として扱われます。河川沿いの道路や橋梁、河川敷の利用状況なども含めて、経路ごとに確認しておくことが大切です。

DIDを含む経路の取扱い(2026年9月29日改正)

2026年9月29日、カテゴリーⅡ飛行の審査要領が改正され、補助者を配置しない目視外飛行でやむを得ず人口集中地区(DID)など人又は家屋の密集している地域の上空を飛行経路に設定する場合の取扱いが明確化されました。改正後の審査要領では、この場合に第三者と物件への危害を防ぐための十分な安全確保措置を講じることとされています。

同日に更新されたレベル3.5飛行事例集には、離着陸地点がDID内にある物資輸送の事例が掲載されています。DID内で第三者が少ない場所を人流調査や現地調査で確認してルートを設計し、事前の住民周知や、離着陸地点での監視・警告設備の設置によって第三者の立入りを防いだものです。

ただし、これは「DIDでもレベル3.5飛行が自由にできる」という意味ではありません。経路は原則として第三者が存在する可能性が低い場所に設定すること、第三者の上空を飛行しないことは変わりません。また、DID上空の飛行はそれ自体が特定飛行なので、その許可も必要です。

なお、2026年6月30日の国土交通省告示により、都市計画法の工業専用地域内の区域は「人又は家屋の密集している地域」から除かれました。DIDを含む経路図を添付し、DID上空の許可を申請しない場合は、地図上または備考欄に「経路上のDIDは、工業専用地域であることを確認済み。」などと記載するよう案内されています。

航空局事前調整とDIPS申請

レベル3.5飛行の申請手続は、手続の簡素化と審査期間の短縮のために、通常の許可・承認申請とは異なる流れになっています。大きく分けると、航空局との事前調整とDIPS2.0での許可・承認申請の2ステップです。

STEP1:航空局との事前調整(運航概要宣言書)

まず、国土交通省の無人航空機の飛行許可・承認手続ページに掲載されている事前相談窓口に相談します。窓口は通常の申請先である地方航空局ではなく、本省航空局(安全部無人航空機安全課)です。

  1. 航空局の相談窓口に相談する
  2. 航空局から「運航概要宣言書」と「レベル3.5飛行マニュアル」の書式が送られる
  3. 運航概要宣言書を提出し、内容を調整する
  4. 調整が完了すると「航空局管理番号」が発行される

運航概要宣言書は、予定しているレベル3.5飛行の概要や、技能証明の保有、保険への加入、機上カメラなど、飛行に必要な要件を満たしていることを申請事業者自身が確保し、航空局に宣言する書類です。宣言書の内容に変更がない限り、次回以降の申請ではこの事前調整を省略できます。

STEP2:DIPS2.0での許可・承認申請

2024年12月16日から、レベル3.5飛行の許可・承認申請はドローン情報基盤システム(DIPS2.0)から電子申請できるようになっています(レベル3.5飛行に係るDIPS2.0を用いた電子申請について)。通常の申請と異なる主な点は次のとおりです。

  • 簡易カテゴリー判定画面で「航空局と事前調整済みの立入管理措置を講じる(レベル3.5飛行関連)」を選び、航空局管理番号を入力する(許可・承認番号とは別の番号です)
  • 飛行経路は、出発地・経由地・到着地がわかる形で住所等を列挙して入力する
  • 機体・操縦者の追加基準への適合性は、原則として「適/否」などで示し、添付資料は不要となる
  • 飛行マニュアルは、原則としてレベル3.5飛行用の航空局標準マニュアルを選択する(独自マニュアルは個別審査)
  • 運航概要宣言書で宣言した内容を前提に安全な運航を行うこと、申請内容が技能証明の区分・限定の範囲内であることを確認する

提出不要になる資料も「作成・保管」は必要です

運航概要宣言書を提出することで、飛行経路(別添資料1)や飛行マニュアル(別添資料7)などは提出が不要になります。ただし、提出が不要な資料も、事業者が同等の資料を作成して備えておく必要があります。航空局から求められた場合は、速やかに提出しなければなりません。

  • 想定されるリスクを考慮し、安全に飛行できる運航条件を設定した資料
  • 機体の機能・性能と飛行形態に応じた追加基準への適合状況を示す資料
  • 操縦者の追加基準への適合性(過去の飛行実績や訓練実績等)を記載した資料
  • 飛行範囲とその外周から落下距離の範囲内を立入管理区画として地図上に示した資料
  • 初期故障期間を超えた十分な飛行実績があることを示す資料

許可・承認を受けたあとも、飛行計画通報や飛行前点検などの運航準備が続きます。申請から飛行後までの流れは次のとおりです。

図表3 レベル3.5飛行の申請・運航準備の流れ

  1. 飛行経路・運航条件の検討
    経路下の道路・鉄道・建物、落下距離、離着陸地点・緊急着陸地点を確認し、横断時の速度・高度などの運航条件を定めます。
  2. 航空局との事前調整
    本省航空局の事前相談窓口に相談します。
  3. 運航概要宣言書の提出・航空局管理番号の発行
    宣言書の内容に変更がなければ、次回以降は省略できます。
  4. DIPS2.0での許可・承認申請【必要な場合】
    航空局管理番号を入力して申請します。飛行の内容や、すでに受けている許可・承認の範囲によって、申請の要否・範囲は異なります。
  5. 有人機周知・NOTAMの確認と必要な対応
    有人機関係者への飛行予定周知と、航空情報(NOTAM)の発行手続は別の手続です。NOTAMについては、予定飛行経路における他の航空機・無人航空機の状況を常時確認できるかによって要否が変わります。
    • 有人機関係者への飛行予定周知(補助者を配置しない目視外飛行で原則必要。審査要領上の例外あり)
    • NOTAM:飛行内容通知書の提出【常時確認できない場合】
  6. DIPS2.0での飛行計画通報
    特定飛行を行う前に通報します。
  7. 飛行前点検・当日確認
    機体の点検、気象・視程、機上カメラと通信、経路と周辺の状況を確認します。
  8. 飛行実施
    設定した運航条件に従って飛行させ、第三者の立入り等があれば飛行を中止します。
  9. 飛行日誌の記録・飛行後点検
    飛行記録と点検・整備記録を作成します。

有人機周知とNOTAMの違い

有人機関係者への飛行予定周知と、航空情報(NOTAM)の発行手続は、それぞれ目的と実施条件が異なる別の手続です。

補助者を配置しない目視外飛行では、原則として航空機の運航者等に対する飛行予定の周知が必要です。ただし、審査要領に定める方法により航空機の状況を随時確認できる場合は、周知を要しない場合があります。

さらに、予定飛行経路における他の航空機・無人航空機の状況を、機上カメラ・地上カメラ等を用いて常時確認できない場合には、飛行内容通知書を提出し、航空情報(NOTAM)の発行手続を行う必要があります。

有人機関係者への飛行予定周知

飛行前に、飛行経路とその周辺に関係する航空機の運航者(ドクターヘリの運航者、警察、消防など)に飛行予定を知らせ、航空機の安全に影響するおそれがある場合は連絡してもらうよう依頼するものです。影響するおそれがあれば、飛行の中止や飛行計画の変更などの措置をとります。飛行経路の地図、日時、高度、連絡先などをインターネット等で公表することも求められています。

航空局標準マニュアル(レベル3.5飛行等)では、周辺の場外離着陸場等を利用する運航者には電話等で、緊急的な運航が予想される運航者にはメール等で連絡し、有人機団体には初回飛行の少なくとも1週間前にメールで連絡するとされています。周知先の連絡先は、申請手続の過程で審査部局から案内されます。

NOTAM(航空情報)

NOTAMは、航空機の運航者に向けて国が発行する航空情報です。ドローンの運航者が自分でNOTAMを発行するのではなく、飛行を行う日の1開庁日前までに、飛行する場所を管轄する地方航空局へ飛行内容を通知し、それをもとに航空情報が発行されます。通知には「飛行内容通知書」を使い、飛行日時、飛行経路(緯度経度と所在地)、飛行高度(海抜の上限・下限)、機体数、機体諸元、問い合わせ先を記載します。

飛行を行わなくなった場合は、速やかに管轄の地方航空局へその旨を通知します。

予定飛行経路における他の航空機・無人航空機の状況を常時確認できる場合は、航空情報発行手続が不要となる可能性があります。具体的な要否は飛行条件に応じて確認してください。なお、常時確認できるかどうかはNOTAMの要否に影響する点であり、有人機関係者への飛行予定周知とは別の論点です。

DIPS2.0の飛行計画通報とも別の手続です

特定飛行を行う場合は、これらとは別に、あらかじめDIPS2.0の飛行計画通報機能で飛行計画を通報し、同じ経路に関わる他の無人航空機の飛行計画も確認します。有人機周知・NOTAMのための通知・飛行計画通報は、それぞれ独立した手続として管理しておくと漏れを防げます。

許可承認後の運航準備

許可・承認を受けたあとは、飛行のたびに次の準備と記録が必要です。

飛行前の確認

  • DIPS2.0での飛行計画通報(同じ経路の他の飛行計画の確認を含む)
  • 有人機関係者への飛行予定周知が必要な飛行ではその実施状況、NOTAMが必要な飛行ではその発行状況・有効期間の確認
  • 経路とその周辺が、不測の事態に安全上の措置をとれる状態かの現場確認
  • 機上カメラ・モニター・通信の動作確認、気象や視程が運航条件の範囲内かの確認
  • 機体の飛行前点検(取付けのゆるみ、モーターの異音、機体の損傷、バッテリー残量、通信・推進・電源・自動制御系統の作動など)
  • 許可書・承認書(原本または写し)の携行

飛行後の記録

特定飛行を行った場合は、「無人航空機の飛行日誌の取扱要領」に従い、飛行記録・日常点検記録・点検整備記録を作成します。飛行後点検では、ゴミ等の付着、取付けのゆるみ、機体の損傷やゆがみ、各機器の異常な発熱などを確認します。

運航管理ツール(Merge Flight Ops)のレベル3.5運航管理

ここまで見てきたように、レベル3.5飛行では、事前調整・許可承認・周知・NOTAM・飛行計画通報・点検といった準備を、飛行ごとに漏れなく管理する必要があります。当事務所が開発・提供している運航管理ツール「Merge Flight Ops(MFO)」には、これらの準備状況を飛行計画ごとに整理する「レベル3.5運航管理」の機能があります。

図表4 Merge Flight Opsの5STEP管理

  1. 経路・実現可能性
    道路・鉄道・河川の横断、建物、DID、空港周辺などの確認項目と、既存の飛行計画の高度・速度、落下距離の計算結果(参考値)を整理します。
  2. 航空局事前調整
    事前調整の状況、提出日・完了日、航空局管理番号、メーカー資料や運航概要宣言書などの関連資料を管理します。
  3. DIPS許可承認
    飛行計画に紐づく許可・承認情報を参照し、有効期間と飛行方法が計画をカバーしているかを確認します。
  4. 有人機周知・航空情報
    有人機関係者への周知(周知先・周知日など)と、NOTAMのための飛行内容通知書の状況を、別々に管理します。
  5. 飛行準備
    DIPS飛行計画通報の状況、飛行日誌の飛行前点検結果、当日の確認項目をまとめて確認します。

各STEPの進捗は、入力された詳細情報から自動で判定されます

  • 未着手
  • 対応中
  • 完了
  • 要確認
  • 対象外

※こちらがレベル3.5運航管理画面となります。

主な機能

  • STEP1〜5による運航準備管理:飛行計画ごとに5つのSTEPの状況と「何STEP完了したか」を一覧できます。
  • 詳細項目からの進捗自動判定:手動でステータスを付け替えるのではなく、入力内容から各STEPの状況を判定します。たとえば事前調整は、「調整完了」になっていても航空局管理番号が未入力なら「要確認」と表示されます。
  • 航空局事前調整情報の管理:調整状況、担当先、航空局管理番号、メーカー資料(落下距離)などを記録できます。
  • DIPS許可承認情報の参照:MFOに登録済みの許可・承認情報を参照し、有効期間や飛行方法が計画と合っていない場合は「要確認」になります。
  • 有人機周知・NOTAM情報の管理:有人機周知とNOTAMを別々に管理し、初回飛行の1週間前を確認の目安として表示します。NOTAMの要否は、他の航空機の状況を常に確認できるかどうかの入力から目安を示します。
  • 既存の飛行前点検結果を準備判定へ反映:飛行日誌に記録した最新の飛行前点検結果を、STEP5の判定に使います。
  • 既存の飛行日誌で飛行実績を管理:飛行後の記録は、MFOの既存の飛行日誌機能でそのまま管理できます。

Merge Flight Opsの詳細はMerge Flight Opsのページでご確認いただけます。

よくある質問

レベル3.5飛行はレベル4飛行の一種ですか?

いいえ。レベル3.5飛行はカテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に含まれる飛行形態で、カテゴリーⅢ飛行(レベル4)には該当しません。

レベル3.5なら人の上空を飛べますか?

いいえ。認められるのは、道路・鉄道・船舶航路の一時的な横断に伴う移動中の車両等の上空の通過や、第三者の出入りのない住宅等の上空の一時的な飛行です。歩行者などが飛行経路下にいる状態で飛行することはできません。

二等の技能証明でもレベル3.5飛行はできますか?

一等・二等の区分は問われません。ただし、飛行させる機体の種類・重量に対応し、目視内飛行の限定を解除した技能証明であることが必要です。

機体認証は必要ですか?

国土交通省がレベル3.5飛行の前提として示している要件(機上カメラ、技能証明、第三者賠償責任保険)に、機体認証は含まれていません。ただし、機体は目視外飛行などの追加基準に適合している必要があり、DIPS2.0の申請で適合状況を示します。

保険の補償額はいくら必要ですか?

具体的な金額の基準は示されていません。第三者の負傷や交通障害などが起きた場合に十分な補償ができるよう、飛行の内容に応じて事業者自身が必要な補償額を検討して設定します。

飛行のたびに航空局との事前調整が必要ですか?

運航概要宣言書の内容に変更がない限り、事前調整は初回のみで、以降は省略できます。宣言書の内容が変わる場合は、あらためて調整が必要です。

NOTAMは毎回必要ですか?

地上からカメラ等で飛行経路の他の航空機の状況を常に確認できない場合は、航空情報の発行手続が必要です。この場合は、飛行を行う日の1開庁日前までに、管轄の地方航空局へ飛行内容を通知します。

DIDを含む経路でもレベル3.5飛行はできますか?

経路は原則として第三者が存在する可能性が低い場所に設定します。2026年9月29日の審査要領改正で、やむを得ずDIDなどの上空を経路に設定する場合の取扱いが明確化され、十分な安全確保措置を講じることが求められています。DID上空の飛行の許可も必要です。個別の経路で認められるかどうかは、航空局との事前調整の中で確認することになります。

Merge Flight Opsで申請やNOTAMの手続まで完了できますか?

いいえ。MFOは準備状況を整理・確認するためのツールで、航空局への申請・通知の自動送信やNOTAMの発行は行いません。申請や通知は、DIPS2.0や所定の様式で別途行ってください。

国土交通省公式資料・リンク集

資料は改訂されることがあります。PDFへの直接リンクに加えて、最新版を確認できる案内ページもあわせてご確認ください(2026年10月14日に各リンクの表示を確認)。

案内ページ(最新資料の確認先)

レベル3.5飛行の資料

審査基準

まとめ

  • レベル3.5飛行は、カテゴリーⅡ飛行(レベル3飛行)に含まれる飛行形態で、レベル4(カテゴリーⅢ)ではありません。
  • 機上カメラ、技能証明(目視内飛行の限定解除)、第三者賠償責任保険を条件に、補助者や看板を配置せずに道路・鉄道・船舶航路を一時的に横断できます。立入管理区画の設定などレベル3の要件は残ります。
  • 手続は、本省航空局との事前調整(運航概要宣言書・航空局管理番号)と、DIPS2.0での許可・承認申請の2ステップです。提出不要の資料も作成・保管が必要です。
  • 2026年9月29日の審査要領改正で、やむを得ずDIDなどの上空を経路に設定する場合の取扱いが明確化されました。
  • 有人機周知、NOTAMのための通知、DIPS2.0の飛行計画通報は、それぞれ別の手続として準備します。

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